創り出す面白さ…以外にも面白さはある

挿絵-社会人年少組

最近の就職戦線は、バブル期ほどではないとは思うが売り手市場らしい。
売り手市場となると人気業種、人気職種に学生たちが集まるのだろう。

人気業種や人気職種は時代とともに違った傾向はあるものの、ある共通の傾向はあるように思う。
たとえばメーカーなら主力製品のデザインや設計、コア技術の開発部門に行きたいとかいった傾向や、デベロッパーであれば商材や服の企画・テナントの種類やブランドを選定したり、イベントを企画したり、商社であれば海外との接点のある営業や大型案件を扱う部門など。
人気の商品群は時代とともに変わり、ハードウェア一辺倒の時代からソフトウェアやコンテンツにも人気が集まったり、かつて存在しかなったネット・IT業界などへと変容していくが、その中でどんな仕事に携わりたいかはおそらくそれほど変わらない。

誰もが経験していることだが、人間は年代や時期によって興味の持ち方やモチベーションのあり方が変わっていく。
幼稚園児~小学校低学年に将来就きたい仕事をたずねたらきっと「お花屋さん」「ケーキ屋さん」など、自分が欲しいもの、要するに「消費者として興味がある、目に付く商材やサービス」にフォーカスした業種が並ぶ。
それが小学校高学年~中学生へと成長するにしたがってスポーツ選手や歌手などエンターテインメントの花形スターやニュースで取り上げられた社会問題の解決に関わる仕事など、その仕事に対する周囲の評価や社会的意義や意味、将来性など様々な社会的評価尺度が考慮に入ってくる。
その流れで行けば、新卒の就職活動時期となるとさぞかし多角的な視点で志望業種や職種を選べそうなものだが、わが身の学生時代を振り返っても「消費者として興味がある、目に付く商材やサービス」~すなわち、よく知られた商品・サービス群の中で主力ジャンルのデザインや設計・企画、コア技術や大型案件の部門にばかり人気が集まっていたように思う。

何故、これからの生涯を考える大事な意思決定のタイミングでそのように単純な視点に戻ってしまったのか。
それはおそらく、学生時代の社会的視点では視野の行き届かない領域が、社会人の世界にはたくさんあるということなのだろう。
つまり単純に、多くの学生は消費者目線で目立つ領域の仕事しか知らないので、他の仕事の存在や意義に気づくことが出来ないのだ。

弊社が携わるような品質問題への解決支援業務は販売業や製造業の中では品質管理部門が担う仕事に関係しているが、この分野もまさにそういった「新卒の学生には知られ難い」分野の1つだろう。
品質リスクを未然に見つけて対処したり、さらなる改善に向けて方策を練ったり試作品の評価をしたり、その結果として品質が向上して競合の多い業界の中をサーバイブしていくことの面白さは、人気商品のデザインや企画に携わり、創り出す面白さと比較すれば学生にはわかりにくい分野なのかも知れない。
社会人生活を重ねた後に面白さの多様性に気がついても決して遅くは無いのだが、こういった仕事にも商品企画やデザインや設計開発によって創り出すことに匹敵する創意工夫の面白さはあるんだよ、ということがもっともっと広く知られるようになったら…と、この分野に携わるものとしては願っている。

top