コーヒーおかわりが100円安くなります!

Professional golf gear on the golf field at sunset.

コーヒーおかわりが100円安くなります!

という看板が目に付いた。 うーん。 なんとも。 多少遠めから待合ソファに座りながら、時間をつぶしている時に眼に入った看板。 コーヒーやサンドウィッチなどの軽食を売っているいわゆるスタンドのコーヒーショップ。 そもそものコーヒーがいくらかはわからない。 お店に言ってみたが注文カウンターの上のメニューを見ないとわからない。 仮に「コーヒーおかわりが100円になります」という情報だったとしても判断しにくい。 幾らから100円が引かれて幾らになるのかが知りたい情報では? あるいは、既に買ったひとのみをターゲットとして宣伝なのか…。 個人的には、そもそもが200円で、100円安くなって100円になるならちょっとした時間つぶしでも買いたいところ。 ちょっとした時間つぶしに2杯は不要かもしれないが…。

ゴルフのアイアンセットを購入したひとがいる。 「今月中なら30%オフ」。 悩んでいたが月末の24時になる前に結局、ぎりぎりで購入。 ネット通販。 3割引ならラッキーだな! そして、そのまま24時を回ったら、同じアイアンセットが「今月中なら37%オフ」との新しいPOPが登場したとのこと。 「えーーー、ひどくない!?!?」

メイク落としのオイル。 気に入っているブランドの商品が並行輸入で安く売られていたのでおもわず購入。 すでに持っていた国内正規販売店で購入したものと比較してみると、色も感触も違い、肌の感じ方も違う。 ブランドに問い合わせてみたら、正規チャネル以外の販売品に関しての問合せは回答できないのです…とのこと。 クレームしたのではなく、「国内正規チャネルで買ったものと、他の国で販売されているものは、同じブランド・品番でも内容物などが異なって色、感触などが異なるのですか? 」という基本情報に関する質問。 しかし「わかりません。 回答できません」とのこと。 自社管理できていないとしても、実態としてこのようなことが消費者の購入・利用シーンで起きているのであれば自社内の情報を収集してコールセンターで対応できるようにすべきでは。 いろんな国で販売しているにせよ、製造しているのは自分達なのだから。 なお、ブランドを築くのは大変だが、失うのは簡単。 顧客とのタッチポイントの貴重性を認識したい…。

品質といえば、“製品”に関することに思うわれがちだが、“サービス”、“コト”、“コミュニケーション”、“体験”などなどに関しても同じ。 4Pというマーケティング用語がある。 Product (製品)、Price (価格)、Place (チャネル)、Promotion (広告・宣伝)。 5Pとして紹介されるケースもあり、残りのひとつはPackage (パッケージ)。 “品質”はこれらすべてに共通して求められる。

製品の品質に関しては、JIS (日本工業規格)や法律などで試験による検証が求められる。 価格、広告・宣伝、パッケージなどは景品表示法や不当競争防止法、家庭用品品質表示法、JAS法、食品衛生法など各種法的要求がある。 チャネルについても、例えば、飲食や薬などは販売の許可や衛生管理が法的に求められている。 また、大店立地法などもある。

法律は明確な具体的要求もあるが、概念的なこともある。 いずれにせよ法律に則っていれば常に問題が無いかと言えば、そんなことはない。 法律と消費者視点での対応は異なりえる。 例えば、上記3つに対しては、不思議に思ったり、腹立たしく思う消費者がいるだろうことは事前に理解できるはず。 消費者は昔の経済学 (私が学生時代に習ったあたり。 30年近くも前…)の前提である“理性的”な存在などではなく、もっぱら感情的でもある。 理性的なときもあるが、感情的になるときもある。 常に理性的なひともいるだろうが、常に感情的なひともいる。

情報を“適切に”伝える“品質”を検討したい。 常にコミュニケーションは限られたスペース・時間となるが、その中で製品やサービスを“適切に”伝えること。 法律を守ることは当然ながら、それのみならず、消費者に対して「えーーー、ひどくない!?!?」と思われないか、も鑑みたい。 少なくとも「ひどい」かもしれないアプローチとそうならないだろうアプローチの選択肢を持って、メリット・デメリットを棚卸しして判断したいところ。

当然、「えーーー、ひどくない!?!?」と思うひとがいる一方で、「やったー。 我慢して待った甲斐があった!」というひともいるだろう。 まるで株の売買だ。 ブランドに対するロイヤリティのレベルや詳細の購入可能性も含めて考えるべきかもしれない。 この購入者がそれまでにそのサイトで幾ら購入したかはわからない。 重要顧客ではないかもしれない。 ただ、このやり方は、常に、そのブランドに否定的になる消費者を作り出しているリスクを抱えている。 ターゲット層・セグメント層が異なることによる「このブランド、別に好きじゃない」は当然だし問題視すべきではない。 ただ、ターゲット層のはずなのに「えーーー、ひどくない!?!?」と思わせるのはどうだろうか…。 法律的には問題なくても「もうここでは買いたくない」と思わせるリスクを抱えている。 ちなみに、冒頭の3つの事例は別に法律違反ではない。

複雑な世の中で、自社のブランドの顧客接点のあり方をシンプルに消費者に理解させ、購買させることが、実は、そのブランドにとっての回りまわってメリットに思うが、どうだろうか。 複雑なコミュニケーションで法律違反を回避し、今は買ってもらった、が、すぐに嫌いになられるリスクを内包している。 この点も適切に評価したい。 1人の消費者に対する小さな傷は売っている側は気にならないもの。 ただ、ゆで蛙にならないように。 品質ワードでは、ハインリッヒの法則というものがある。 大事件の下には見えない (気付いていない)ヒヤリハットが潜んでいる。

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