サンプルと量産が違う! は問題とは言わない

Color samples of a fabric in shop

  • サンプルでは色落ちしなかったのに量産では色落ちがひどい。
  • サンプルではPPだったのに量産ではPEになっている。
  • サンプルではニッケルメッキだったのに量産では錫メッキになっている。
  • サンプルでは炭酸カルシウムなんて入っていなかったのに。
  • サンプルはPUだったのに量産ではPVCになっている。
  • サンプルでは撥水加工されていたのに量産では撥水加工されていない。
  • サンプルではブランド指定のカラーがきれいに出ていたのに、量産では色が違う…。

量産における変動要因(生産要素)への注意を網羅的に喚起するフレームとして“4M”という言葉がある。 弊社でもメーカー出身の品質コンサルタントがよくこの点でお客様と議論している。
4つのMという意味で、その中身は Machine (機械設備)、Material (材料)、Man (作業者)、Method (製造方法)である。 5Mとして Measurement (検査) が追加されることもある。
つまり、この4Mないし5Mのいずれかでも変更されれば、出来上がる製品に違いが発生し得るため、バラツキを抑えて同じものを量産するにはこれらに変更がないかを注視する必要がある、ということなのだ。
なお、 EnvironmentEをプラスするという考えもある。 梅雨の時期や真夏などの高温多湿環境では、カビが生え易くなる、プリント部分が昇華しやすくなる、個包装が製品に張り付いて変質させてしまう、など、4M、5Mとは異なる観点も注意して製造しなければならない、ということ。

いずれにせよ、冒頭にあるようにサンプルと量産が変わってしまうことはよくあり、メーカー様・輸入者様の悩み。 サンプルは腕のあるベテラン作業者が作ったが、量産は慣れていない多数のひとがつくる / サンプルは在庫の材料で作ったが量産は違う / サンプルの生地はありものだったが量産の生地は市場で買ってくる / サンプルがあり型でつくったが量産は型を作り直す / サンプルはA工場だけだが量産は納期の問題もあり、B、C工場へ下請けに出す / サンプル品は日本の検査会社で検証したが量産品は工場内の検査機械でチェックする、などなど。 つまり、事前にわかる範囲でもサンプルの4M/5Mが量産とは異なっている。

もちろん、予想外のことが起きることもある。
工場も同じ、材質も同じ、製造方法も同じ、検査方法も同じ、作業員も同じ、なのに…。 本当だろうか? 安価な販売価格品を、安価な製造費で海外で製造する場合、4M/5Mがサンプルと量産で同じなんてことはあり得ない、と考えるべきではないか。
そうであれば、サンプル品と量産品が異なることは(あるいは、量産品の中でロット違いや個体差がでることは)、“問題”ではないのだ。 なぜなら、条件が違うのは当然となれば、できあがったものが違う! と言って騒ぐのはおかしな話であり、それ自体は“問題”ではなく、“問題”は、それでも一定品質の製品を日本で販売・提供するにはどうすべきかを考え、実行しないこと、ではないだろうか。

変動要素を想像し、起きそうなリスクを事前に棚卸しして、それを検証するために、特別な検品をするのか、頻繁に品質検証するのか、それを工場に任せるのか、第三者にさせるのか、自ら工場にはりつくのか、日本でも検品するのか…。

結婚する前はこんなひとではなかった?! なんてことよくある話。
意図的に隠されていたのか、事情が変わったのか、性格が変わったのか、気付いていなかったのか、認識していたが自らの感じ方・要求レベルが変わったのか…。
人でもモノでもよくあることではないだろうか…!?

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