経験したことがない…

過去に経験のないことが起きてしまう。どう対処していけばよいのだろう? どのような仕事をしていても、あるいは私生活をしていても、生きていれば必ず過去に経験したことの無いことに遭遇する。 しかし、よく考えてみると経験とはなんだろうか?常に疑問に思う。経験した/してないは何ら問題は無く、それが事実だかどうかは本人しかわからない。 より正確には記憶している/していない、ということになる。そのようなことは問題にはならない。 ここまでは“だから?”という話だ。

ビジネスでは、私は・彼女は、彼は●●を経験している、“だから答えがわかる/わからない”、“だから解決策をやれる/やれない”、“だから解決策を効率的にできる/できない”、“だから自分がやりたい/他のスタッフの方が望ましい”などなど、何らかのアクションに落とさなければならない組織としての意思決定に利用される。 アクションベースの会話以外の評論はあまり組織では望まれない。 しかし、このアクションの根拠となる“経験の有無”、まだまだ疑問が多い。

例えば、「Aという季節・時間帯に、Bの目的のために、Cを動かしていると、CがDからEへと、Fという状況で、変化することを確認し、これを止めるために、Gを実施することを考え付き、Hを使って、Gを実行した。 そうするとHという環境下で、EからDへとCは戻っていき、その後は安定的にDであった」なんて訳のわからない状況があったとしよう。 これを経験したひとは、A~Hがすべて同じようにそれはないと、経験したことが無いというのか、AがZであっても経験したというのか、あるいは、DからEへの変化に後ほど直面したら、「あ、これは過去に経験がある」と思うのだろうか? 経験したかどうかが問われる事象について、一般的には、実はその部分しかもちろんながら経験したことが無いのだと想像される。 そうすると、本人が、今、問われている“経験”と自分の過去の“経験”をどのように一致させるかによって、経験の有無が変わってくる。つまり、自分次第だ。

経験を積み増すティップスが3つある。

  • ひとつめ: 経験したことがないからと言って、アクションを起こさない、あるいは自らリードしないと、結局はいつまでたっても経験できない。 経験を因数分解してA~Zまですべてが一致するなんてことはそうそうありえない。 ならば、どこが同じだから、何が起こることが想像され、どこが違うからどのような違いオプションが想定され、全体感としての違い(機械的な部分の議論のみならず)が何を生むか、を想像し、一部の経験で自信を持ってアクションすればよい。 経験してないからと消極的になることはない。 因数分解し、各部分の程度を気にしなければ、経験していないこともあるが、経験していることも出てくるはずだ。 それならば経験しているとしてイニシアチブをとり、ただ、みんなも助けてくれ、何が起きえるか議論する。
  • ふたつめ: 経験とはそれを経験したこと自体に価値があるのではなく、そこから何を学んだか、が価値になる。 従い、その経験から学んだことを普遍的な価値、抽象的な価値、上位概念的な価値に置き換えることが必要だ。 例えば、中国製の、ポリエステルのトートバッグ、黒色でマーケットに上市後に、色落ちのクレームが多発した、とする。 事前にサンプル品の各種堅牢度試験がなぜか抜け漏れていた。 このとき、中国製の、ポリエステルの、黒色のトートバッグは必ず堅牢度試験をしよう、では学びにならない。 正確には学びにはなるだろうが、このA~Zまでが全て同じ状況で経験とするのは学びが限定的で、ここでの本質はなぜ事前の堅牢度試験が抜け落ちていたかであり、納期の問題と工場の勝手な判断だとすると、これがより上位の学びとなる。 個別具体性を排除して抽象的・上位概念的で経験したと自分で理解・納得すると経験の幅がぐっと広がる。
  • みっつめ: 人間は保守的。 過去のたまたま脳が深く記憶していることだけを思い出して、経験していると感じる。 実は多数の反対の経験をしているかもしれないし、実は1回だけの経験が、最近起きたから、何らかの理由で自分の記憶に残っているから、などなど脳も不確かなだ。 従い、経験していない、と思った方がより正しい、というか結果につながるアクションができるかもしれない。 無知の知恵、というか、成功バイアスからの解放、というか、知らないことが強みであったりする。 つまり、「経験していないからうまくやれます」と自信を持ってイニシアチブをとることだ。 経験に頼れないがために、考え、想像し、常に疑問が隣同士で、なぜ、なぜ、なぜと質問力を駆使せざるをえない。 実はこのプロセスの“経験”が、解決力を増すのだ。

「経験したことがないから…」良く耳にするが、そんなこと気にしないコンピテンシーで、抽象化・上位概念化で多数の経験に紐づけられるコンピテンシーで品質課題を解決していきたい。

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