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知見

アスベスト混入リスクと品質管理

2024年に小惑星リュウグウのサンプルから新種の鉱物が発見されるなど、地質学の進歩には目を見張るものがありますが、その一方で、古くから人類を悩ませ続けている「石」も存在します。

アスベスト(石綿)は、かつて耐火性や絶縁性に優れた「魔法の鉱物」として重宝されましたが、その正体は天然に存在する繊維状のケイ酸塩鉱物です。 そのため、メーカーが意図的に添加せずとも、採掘現場において他の鉱物と共生し、結果として「不純物」の形で製品に混入するリスクが常に付きまといます。

特に注視すべきは滑石(タルク)やバーミキュライトです。 これらはアスベストと地質学的に近い環境で生成されるため、化粧品や子供用のクレヨン、あるいは建築資材の原材料に微量が紛れ込むケースが世界中で報告されています。 例えば、米国FDAは2020年にタルク製品のアスベスト試験方法に関する重要な勧告を出しており、日本でも労働安全衛生法に基づき、0.1%を超える含有は厳格に禁止されています。

アスベストについて固形建材の分析を規定するのがJIS A 1481規格群(第1部〜第5部)です。 本規格は、アスベストの有無を判定する定性分析 ( -1、-2 ) と、その含有率を算出する定量分析 ( -3、-4、-5 ) に分かれます。 例えば第1部 JIS A 1481-1 「建材製品中のアスベスト含有率測定方法-第1部:市販バルク材からの試料採取及び定性的判定方法」偏光顕微鏡を用いて層ごとの有無を見極める欧米で主流の試測定方法です。

これに対し、JIS K 3850-4 「空気中の繊維状粒子測定方法-第4部:固定発生源-プラントからのアスベスト飛散-繊維計数測定法」は空気中の繊維状粒子、具体的には、固定発生源 (プラント) から環境中へ飛散するアスベストの繊維数を計数・測定する測定法です。

つまり、JIS A 1481-1~5が建材のアスベスト含有有無や量を、JIS K 3850-4は空気中に浮遊するアスベスト飛散計数を測るものとして明確に使い分けられているのです。

サプライチェーンが複雑化した現代では、原材料の産地レベルにまで遡った品質管理が欠かせません。「天然由来=安全」という耳当たりの良い言葉に甘んじることなく、目に見えない微細なリスクを科学的に排除する姿勢こそが、グローバルスタンダードにおける品質保証の根幹と言えるでしょう。

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