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圧縮試験とは ? 概要と目的、試験方法について

街をひた走るトラックは、毎日たくさんの荷物を運び、人々に物を届けています。 商品に傷も凹みもなく綺麗なまま流通できるのは、ドライバーの運転技術もさることながら、重さに耐えられる強いタイヤや、多少の揺れや重さでもつぶれない頑丈な段ボール箱があるからです。

私たちの生活を支える製品の強さを確かめる試験の1つが、今回ご紹介する圧縮試験です。 段ボール箱やタイヤだけでなく、さまざまな材料や製品で実施されている試験です。

この記事では、圧縮試験の概要や主な試験方法などをわかりやすくお伝えしていきます。 圧縮試験への理解を少しでも深めていただければと思います。


圧縮試験とは
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圧縮試験は、端的にいうと、材料や製品をギューッとつぶしていく試験です。 試験片や製品の上下や左右から、内側に向けて徐々に荷重をかけていき、破損や変形が起こるまでの強さ (圧縮強度) を測定します。 圧縮試験を実施することで、材料や製品がどれくらいの荷重に耐えられるかを確かめていきます。

圧縮試験の結果は製品の耐荷重や耐用年数を示すデータに活用され、製品の性能に大きく影響します。 耐えられる荷重を調べることで、物の使用や運搬の安全性を確保することができます。

圧縮試験を実施する目的

圧縮試験を実施する目的は、材料や製品の性能を知り、安心・安全を確保することです。

段ボール箱やコンテナなどの包装貨物は、上に何個か積み上げて運ぶことがあります。 もし下の段ボール箱が重さに耐えきれずにつぶれてしまえば、積まれていた段ボール箱もバランスを崩してしまう恐れがあります。 そうなれば中身の製品にも影響が及び、大惨事になる可能性もあります。

タイヤや段ボール箱が耐えられる荷重を確かめることで、適切な積載量や積み方を考えられるようになり、安全かつ効率的に物を運搬できるようになります。また、圧縮試験の実施でトラックのタイヤやバネの安全性を確保できれば、ドライバーの安全を守ることにもつながります。

木材やコンクリート、金属などの圧縮強度については家や高層ビルなどの建造物の強度にも影響します。 建造物は建物の重みだけでなく、自然災害などにも耐えられる強度でなければいけません。 東京スカイツリーやドバイにあるブルジュ・ハリファのような近未来的な建造物を実現するには、優れた設計を実現する優れた材料が不可欠です。 大きな夢を支える材料や部品が、重さに耐えられる強度を持っているか確認するために、圧縮試験は欠かせない試験です。

一方で、ペットボトルや缶のように、つぶすことを想定した製品では、「理想通りの強度で変形が起こるか ? 」という点などが重要になることもあります。 最近ではつぶしやすいペットボトルを見かけるようになり、物としての強度だけでなく、環境性能にも重きを置かれる製品が増えています。 圧縮強度は強ければ強いほど良いということではなく、あくまで規定の圧縮強度を満たしているかどうかが重要です。

このように、材料や製品に要求される圧縮強度や目的によって、圧縮試験の内容は変化します。 使用環境や消費者のニーズに応じた試験が求められるのです。

圧縮試験の対象となる主な材料・製品

前章で取り上げた通り、圧縮試験では非常に多くの材料や製品が対象になります。 トラックを例にとっても、タイヤやバネ、車輪の回転を助けるベアリングボール(鋼球)などがあります。 荷重がかかることが想定されるものが主な対象となり、材料から部品、完成品まで幅広く実施します。

段ボール箱や雑誌の付録、保冷剤・保温剤が入ったパックなども対象です。 段ボール箱などの包装容器は上に何個も積み上げることが多く、圧縮に耐えられる強さが必要です。 保冷剤や保温剤の中身には有害な化学物質が入っていることもあるため、想定される使用用途で中身がこぼれないようテストされます。

また、研磨剤や顔料、医薬品マイクロカプセルなど非常に小さいものも実施されることがあります。 金属粉末やセラミックス粒子も一粒一粒の圧縮強度が確かめられます。

大きなものから小さなものまで対象範囲は膨大です。 次の章で取り上げる試験方法についても、すべての材料や製品の試験方法を紹介するのは困難ですので、代表的な試験を厳選してお伝えしていきます。

圧縮試験の主な試験方法

圧縮試験の方法は、対象の材料や製品、荷重のかけ方などによって変わります。 この記事では数ある試験方法の中から、プラスチックで実施する圧縮試験と、段ボール箱で実施する圧縮試験をピックアップします。 他の試験方法について詳しく知りたい方は検査会社にお問い合わせください。

試験片の圧縮試験 ( JIS K 7181 )

こちらの試験では、角柱・円柱・円筒形の試験片を一定の速度で挟んでいきます。 プラスチックは日用品をはじめとして、自動車やパソコンなど広く使われる材料です。 また、プラスチックは熱によって性質が大きく変化するため、常温時だけでなく低温や高温の温度環境下でも実施されます。

  1. 試験片を圧縮試験装置の基板の中央に置く。
  2. 試験片の上下の端面は圧縮装置の加圧面と平行になるようにする。
  3. 試験片に荷重を加え、破損した時の荷重を測定する。

この試験でよくあるのは「座屈」です。 座屈は壊れずにグニャッと曲がった状態のことです。 座屈してしまう場合は圧縮試験が不成立となるため、座屈しない試験片を使用する必要があります。

包装貨物の圧縮試験 ( JIS Z 0212)

この試験は段ボール箱や木箱、プラスチック容器などの容器や、中身の入った包装貨物で実施される試験です。 物流過程で包装貨物が積み上げられた際の圧縮強度を調べるのに適しています。

この記事では段ボール箱を例に紹介していきます。 中身を入れた場合と空の状態で調べることができますが、段ボール箱などの場合は容器自体の強度を知りたいので、空の状態で行われることが多いです。

また、JIS Z 0212 では2つの試験方法が規定されています。 変形するまで実施する試験と、一定の荷重で所定時間置いておく試験です。

静圧縮試験

試験機で段ボール箱に荷重を与え、目標荷重に達した時点で荷重を取り除く方法です。段ボール箱の強度は温度や湿度によって変わるため、一定の環境に置いてから試験を実施することもあります。

積重ね荷重試験

段ボール箱の上に、一定の荷重をかけて、そのまま放置します。 あらかじめ決めておいた時間になるか、段ボール箱が壊れるまで実施します。 加える荷重と時間については試験規格に基づいて決められます。こちらも一定の温度や湿度に置いて実施することがあります。 段ボール箱は長距離・長時間輸送することもあるため、より実環境に近い試験と考えられています。

材料の強さや製品の不具合を調べる圧縮試験

圧縮試験は、大きなものから小さなものまで、日常のあらゆる材料・製品を実施される試験です。 私たちが生活を守るために、さまざまな材料・製品で圧縮強度が確かめられています。 私たちの暮らしを支える大切な試験です。

使用環境やニーズによって、材料や製品が求められる圧縮強度は異なります。 材料や製品ごとの適した試験方法や取得データの活用方法などを詳しく知りたい方は、検査・試験に長けたコンサルティングサービスをご利用いただくことをおすすめします。

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