日本の夏は、もう「昔の夏」とは違う ?
「今年の夏も暑かったですね」
毎年のように交わされる言葉ですが、どうやら単なる挨拶では済まなくなってきたようです。
気象庁によると2026年夏の日本の平均気温は高く、西日本では7月中旬と下旬に1946年の統計開始以降1位の高温、北日本では7月中旬に1955年と並び1位タイの高温、8月下旬に西日本ではやはり1946年の統計開始以降1位の高温…と記録的な高温が幾度となくありました。 計開始以降で5番目の高さとなりました。 酷暑日 ~ 日最高気温が40土以上の日 ~ は6~8月で 観測914 地点中の22 地点、のべ 36 地点で観測されました。
もう少し長い目で見てみると、日本の夏の平均気温は1898~2026年で見るとおよそ100年で1.41℃の割合で上昇しています。
参考
- 気象庁 | 2026年夏(6月〜8月)の天候 ( https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/seasonal/202608/202608s.html )
- 気象庁|40℃以上の日最高気温を観測した地点 ( https://www.data.jma.go.jp/stats/stat/202615/amd_mxtem_ov40_202615.html )
- 気象庁 | 日本の季節平均気温 ( https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/sum_jpn.html )
つまり「たまたま今年が暑かった」というだけではなく、私たちがこれまで当たり前だと思っていた「日本の夏」そのものが、少しずつ変わってきていると考えた方がよさそうです。
35℃、40℃の世界で「今まで大丈夫だった」は大丈夫 ?
気温が変われば、私たちの暮らしも変わります。
例えば、真夏の自動車の中、直射日光が当たるベランダ、屋外に置かれた宅配ボックス、空調のない倉庫。
私たちの身の回りには、気象情報で発表される「最高気温」以上の高温になる場所がたくさんあります。
そして、そこで使われたり保管されたりするのは人間だけではありません。
スマートフォン、モバイルバッテリー、ハンディファン、化粧品、食品、衣料品、プラスチック製品など、さまざまな商品があります。
実際、NITE (独立行政法人製品評価技術基盤機構) は、リチウムイオン電池を搭載した製品の事故が春から夏にかけて気温の上昇とともに増える傾向があり、高温になる場所では使用・保管しないよう注意を呼びかけています。
参考

商品が使われる「環境」も変わっている
商品をつくるときには、当然ながら「どんな環境で使われるか」を想定します。
しかし、その前提となる環境そのものが変化したらどうでしょう。
10年前、20年前には「通常の使用環境」と考えていた温度が、現在の夏にもそのまま当てはまるとは限りません。
また、商品が消費者の手元に届くまでにも、工場、コンテナ、トラック、物流倉庫、配送車など、さまざまな場所を通ります。
夏の高温化は、商品を「使う場面」だけでなく、「運ぶ」「保管する」という場面にも影響している可能性があります。
「過去に問題がなかったから」という安心
品質管理の現場では、長年販売していて大きな問題が起きていない商品については、どうしても安心感が生まれます。
もちろん、それまで積み重ねてきた実績は重要です。
ただし、商品が変わっていなくても、その商品を取り巻く環境は変わっているかもしれません。
気温だけではありません。
豪雨、湿度、紫外線など、日本の気象環境そのものが変化しています。
「この商品はこれまで問題がなかった」
という事実と、
「これからも同じ条件で使われる」
ということは、必ずしも同じではありません。
変わる夏に、私たちも少しだけ発想を変える
気候の変化というと、非常に大きな問題に感じます。
しかし商品を扱う私たちにできることは、案外身近なところにあるのかもしれません。
商品の保管温度は今の環境に合っているか。
輸送中に想定以上の高温になっていないか。
直射日光の当たる場所に置かれる可能性はないか。
取扱説明書や注意表示は、現在の使われ方に合っているか。
そして、これまで設定してきた品質基準や試験条件は、現在の生活環境に合っているか。
今年の夏の暑さを「今年も暑かったね」で終わらせず、一度そんなことを考えてみるのもよいのではないでしょうか。
商品が変わらなくても、商品を取り巻く世界は変わっている。
これからの品質管理には、そんな視点も必要になってきているのかもしれません。