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知見

食べたくなってほしくないけど魅力的

ダイエットの話ではありません。

SNSを開けば「本物そっくり」なミニチュア雑貨や、ぷにぷにとした感触がたまらないシールが溢れています。 大人が見ても心が躍る「可愛らしさ」ですが、これが好奇心の塊である乳幼児の目に入ると、事態は少し複雑になります。

乳幼児にとって、視界に入る魅力的な小物はすべて「好奇心のスイッチ」をオンにする存在です。
「これは何だろう ? 」と世界を確かめるための「格好のターゲット」です。

特に「鮮やかな色彩」「果物や菓子の形状」「美味しそうなにおい」の三拍子が揃うと、彼らの脳内では「食べられるもの」という変換が自動で行われます。 さらに、「弾力のある質感」などあると魅力も増します。 まさに、現代社会の棚に並ぶ「禁断の果実」ですね。

こうした事故を防ぐため、業界では様々な施策があります。

物理的な設計による防止・対策

まずは「口に入らない大きさにする」ことと「飲み込んでも窒息させない」工夫が基本です。

「口に入らない大きさにする」方法としてよく知られているのが玩具安全基準(ST基準)などで用いられる「スモールパーツ・シリンダー」。 これは3歳未満の子どもののどの大きさを模した試験用の筒で、これに収まるサイズの部品は、原則として対象年齢以下の製品には使用できません。

「口に入れてしまっても窒息させない」工夫として知られているのは空気孔の設置。 万一飲み込んでしまっても呼吸ができるように空気の通り道を確保する設計で、これは玩具や文房具などに限らずトローチのような口に入れて使用する目的の製品にも採用されることがあります。

  • スモールパーツ(小部品)の規制 ST基準(玩具安全基準)や国際的なISO 8124ではスモールパーツシリンダーに入る大きさの部品は、3歳未満の子ども向け玩具には使用しない
  • 空気孔の設置 誤飲しても呼吸ができるように空気の通り道を確保する設計

化学的な「苦味」による抑止

口に入れてしまった場合に「口に入れてもすぐに吐き出させる」という技術も使われています。

万が一口に含んでも「不味くて吐き出す」ように苦みを感じる味付けを部品の表面に施す…という方法で、安息香酸デナトニウムを塗布するのが一般的です。 この化学物質はギネスブックにも登録される程の苦味で知られており、10 ppb という低濃度でもその苦味を感じ取ることができます。 幼児用玩具の他にSDカードのような小さな電子デバイス、農薬や殺虫剤、洗剤などの液体などに忌避剤として広く使われています。 ただし、その効果はあくまで「吐き出させる」ためのものであって、飲み込んだときの窒息リスクや毒性そのものを消すわけではないので過信は禁物です。

チャイルドレジスタンス(CR)機構

ミニチュア雑貨やシールから離れると、例えば医薬品やライターなどでは子どもが簡単に操作できないようにする仕組みが導入されています。

  • CRキャップ 「押しながら回す」といった2つの動作を組み合わせないと開かないボトルキャップ。 医薬品や洗剤によく使われています。
  • ライターの規制 日本では2011年から、操作に強い力が必要な「CR機能」付きライター以外は販売できなくなっております。

主なガイドラインと法規制

これらは、消費生活用製品安全法やJIS規格、業界団体による自主基準などで厳格に定められています。

分野主な基準・規制概要
玩具ST基準 (日本玩具協会)形状、強度、有害物質、燃焼性などを規定。
家庭用品JIS S 0102消費者製品の安全図記号に関する基準。
ボタン電池JIS C 8513誤飲防止のためのパッケージや警告表示の規定。
ライター消費生活用製品安全法チャイルドレジスタンス機能を備えるよう法規制。 PSCマーク。
医薬品・化学品ISO 8317チャイルドレジスタンス包装に関する国際規格。

でも、技術に過信は禁物…

物理的なサイズ制限に、化学的な「嫌悪感」など、何重にも重なる施策。 しかしこういった定番の施策に加えてどうしても大事なのは「小さな子どもの手が届かないところ」で管理するという大人の目線です。 乳幼児の安全は、技術的な工夫と大人の管理の両輪で守られていくのです。

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