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プラスチック製ストロー規制の動き

各種メディアで盛んに取り上げられていますが、欧米各地で始まったプラスチック製ストロー規制の動きが世界中に広がる可能性があります。 食器類あるいはモノ作り全般に携わる人は注意が必要です。

報道によれば米国スターバックスは2020年までに全世界の店舗でプラスチック製ストローを廃止して紙ストローに切り替えると発表、同じく米国マクドナルドも英国とアイルランドの店舗で9月より順次紙製ストローへの切り替えを発表しました。

ストロー規制の背景と国際社会の動向

ストロー規制に至った発端は中国が2017年に廃プラスチックの輸入を禁止したことによって、行き場を失った廃プラが今後大量に海洋廃棄される可能性が高まったことにあると言われています。

プラスチックごみは海洋廃棄されると紫外線の影響や波による衝撃などで1ミリ以下(又は5ミリ以下)のマイクロプラスチックと呼ばれる微小な粒子になり、海の中の有害な化学物質を吸着、海洋生物がそれらをプランクトンなどと一緒に飲み込んでしまうことで生態系を壊す危険性やそれらを食べる人間への健康被害などが懸念されているのです。 海鳥がプラスチック片を誤飲して大量死している話題や、ウミガメに刺さったストローを抜くショッキングな動画などがSNSで拡散したことも前述の企業を動かした要因とも言われており、プラスチックごみによる海洋汚染問題はいよいよ深刻なものと捉えられ始めています。 国際社会では2018年6月のG7サミットでプラスチック製品の規制強化を盛り込んだ「海洋プラスチック憲章」が採択されるに至りました。 ※但し現時点では米国と日本は署名していません。

なぜストローなのか?

数あるプラスチック製品、使い捨てにされがちな食器・容器や包装類に限っても多岐にわたる中で何故、ストローがクローズアップされているのか? 他のプラスチック製品に比べてサイズや形状のためにリサイクルに回され難いということと、比較的取り組みやすいからという理由だと言われています。 無論、プラスチックストローを規制することだけで海洋汚染の問題が全て解決することにはなりませんが、これが世界を動かす一つのきっかけになると考えられています。

プラスチックストロー規制の問題点

プラスチックストロー規制についてよく言われる問題点が代替品の品質とコスト高。 紙ストローは耐久性に難があり、曲がるストローを作るのも困難、粉が出る問題がある、等と言われています。 生分解性プラスチックは実はそのままでは自然界で分解されないので問題解決にならない、とも言われています。 さらには、いわゆる「曲がるストロー」が怪我や病気などで体の自由に制限のある状況では重宝されることから一方的な全面廃止は困る…といった声もあり、無くなる想定が出てきてあらためてプラスチックストローの有用性やありがたさを思い知るこの頃です。

日本の状況

すかいらーくホールディングスが同グループの海外店舗を含む全業態で使用している使い捨てプラスチックストローの使用を原則廃止するとし、手始めに「ガスト」全店では2018年12月までに、その他全業態では2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックまでに順次廃止する、と発表しました。 同社の動きで一気に日本でも廃止の動きが加速するのか?…というと、2018年9月末現在ではそうでもないように思われます。 先のG7の採択に「国民生活や国民経済への影響を慎重に検討する必要がある」として日本政府の署名は見送られました。 又、欧米と日本ではごみ処理の事情が違い、欧米ではストローは埋め立てるケースが多いのに対し、日本では焼却炉の整備が進んでおり大半は焼却処理されるため、海洋汚染につながるケースは比較的少ないのでは?という見方もあるようです。 代替品が抱えている問題の解決策が見えていないことも規制に二の足を踏む要因と思われます。

ストローの輸入時に必要な試験は?

プラスチック製ストロー(生分解性プラスチック含む)の場合はその材質に応じた食品衛生法の規格試験を実施し、パスしていなければ輸入できません。

紙ストローの場合は基本的に輸入時の試験要求は無いのですが、合成樹脂でコーティングされている場合は上記同様の試験が必要です。 また、同じく輸入時の試験要求では無いですが食品衛生法上で定められた着色料以外の着色料が溶出しないことと定められているので着色されている場合は注意が必要です。 蛍光増白剤も同様に規制対象となっています。

動向のウォッチと…

ストローをリサイクルする技術がいくら整備されようとも、外食産業で使われるプラスチックストローや家庭から出るごみが廃棄の時にキチンと分別されなければ正しくリサイクルされません。 国や自治体、各企業の取り組みがどうなるかが否応なく注目される流れですが、プラスチックごみによる自然破壊の問題ももはや待った無しの状況。 私たち個人でも家庭や出先のファストフード店、フードコートなどでプラスチックごみの分別廃棄をキチンとやることは必要不可欠といえます。 なにより一人一人が意識して行動することが大切で、それが巡り巡ってストロー一つでも未来への架け橋となっていくのかも知れません。

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