日本ラボテック

知見

安全管理の手法を品質管理にも

品質管理における「ヒヤリハット」と「KYT」の応用

最近、AIが自信満々に嘘をつく「ハルシネーション」が話題ですが、私たち人間も「うっかり」や「勘違い」、ときに「度忘れ」などで間違いをおかすものです。 でも、その「うっかり」が商品事故に直結するのがプロの現場の怖いところです。

さて、製造業や建設業の現場で「ご安全に!」「今日も一日ゼロ災で行こう!」などと唱和されるように労働安全は重要です。 そこでは「危険予知トレーニング (KYT)」が安全性向上、労働災害予防のためによく行われています。 「怪我」などの労働災害や「火災」などの人災を防ぐために行われる活動ですが、これを品質管理にも応用しようという「品質KYT (QYT)」や「不良予測トレーニング (FYT)」といった取り組みがあることをご存じでしょうか。

やり方はシンプルです。 従来のKYTで「怪我」など労働災害を想定していた部分を、「品質事故」や「不良品の発生」に置き換えるだけ。 基本的な手法はそのまま使えます。 例えば、製造現場で「作業手順書のこの表現、少し紛らわしいので誤読しそう」、「この作業、慌てると異物が混入しそうだ」、「原料の配合量を間違えても気づく仕組が無い」等、事務職なら「このメール、宛先Bccにし忘れそうだな」等。 これがまさに「品質ヒヤリハット」です。

KYTの「危険に気づく力」を養う手法は、「品質リスクに気づく力」を養うことにも応用できるのです。 作業前にチームで集まり、「この作業のどこに品質不良のリスクが潜んでいるか?」を話し合い、組織として共有し対策を打つことが、将来の大きなクレームを未然に防ぐことに繋がる…という活動です。

小さな違和感を見逃さない感性は労働安全と製品品質のどちらをも守る強力な防波堤になります。 「たかがヒヤリハット」と侮るなかれ。その積み重ねが、企業の信頼を築く礎となるのですから。

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