日本ラボテック
新着情報

米国への輸出時の CPSC 電子申告義務化について

米国のCPSC (消費者製品安全委員会) による適合証明書の電子申告 (eFiling) が義務化されます。 米国へ製品を輸出・輸入する事業者にとって重要な変更となります。

CPSCのそもそもの目的

CPSC ( Consumer Product Safety Commission : 米国消費者製品安全委員会 )は一般消費者が日常的に使用する製品 (玩具、衣服、家具、家電など) による負傷や死亡の不当なリスクから公衆を保護することを目的とした米国の独立連邦政府機関です。

法の改正日と施行開始日

CPSCは2025年1月8日、今回の電子申告 (eFiling) 義務化を定める最終規則を承認し、連邦官報(Federal Register)に掲載し、義務化の発効日は2026年7月8日からとなります。 (※ただし、保税地域 (FTZ:Foreign Trade Zone) に一度搬入してから米国国内に引き取る貨物については半年猶予があって2027年1月8日から義務化されるルールもあります。)

改正以前と以降の対応内容の違い

実務上の対応は大枠では以下の通り変わります。

項目2026年7月8日「以前」(従来)2026年7月8日「以降」(義務化後)
提出のタイミングオン・デマンド (要求時のみ)
証明書 (PDFや紙) は自社や輸入業者で保管し、CPSCや税関から「見せて」と言われたら提出する形。
プロアクティブ (通関時に必須)
米国の通関 (エントリー) 手続きを行うその瞬間に、リアルタイムで電子申告 (eFiling) しなければならない。
提出の方法書類の保管・メール等での提示。米国税関・国境警備局 (CBP) のシステム (ACE) を通じて、CPSCのシステムへ直接データを送信する。
提出する内容適合証明書の書面そのもの。証明書から抽出した特定のデータ項目 (7要素) をシステムに入力して送信する。

なお、電子申告には大きく2つのルートがあります。

  • Full PGA Message Set (直接入力) : CPSCのデータベース (レジストリ) は使わず、通関の都度、米国税関システム (ACE) へ直接7要素をすべて手入力・送信する方法 。 輸入する製品の種類や頻度が少ない事業者向け
  • Reference PGA Message Set (参照入力) : 事前にCPSCの「プロダクト・レジストリ」に7要素を登録しておき、通関時はその識別コード (ID) だけを送信する方法 。 同じ製品を繰り返し何度も輸入する事業者向け

事業者の輸入頻度に応じた選択肢があることを示すことで、実務者が自社に最適な対応を選べるようになります 。

なお、アメリカ国内で製造された製品については税関を通らないため「輸入時のeFiling (電子申告)」自体は対象外ですが、2026年7月8日以降は「16 CFR Part 1110」の最新基準に則った証明書を用意する必要があります。

申告する「7要素」のデータとは ?

  • Product ID (製品識別情報) : 完成品の識別情報 (GTIN、SKU、UPC、モデル番号など) 。
  • Citation Codes (安全規則コード) : 製品が準拠しているCPSCの各安全規則のコード 。
  • Manufacture Date (製造日) : 完成品が製造された日付 。
  • Manufacture Place (製造場所) : 製造・組み立てを行った当事者の名称、フルアドレス (住所)、連絡先情報
  • Product Test Date (製品試験日) : 最新の適合性試験が行われた日付 。
  • Testing Laboratory (試験機関情報) : 試験を行った機関の名称、フルアドレス、連絡先情報
  • Point of Contact (記録保持者) : 試験結果の記録を維持・管理している担当者の名称、フルアドレス、連絡先情報

プロダクト・レジストリとバージョン管理

レジストリを利用して参照申告を行う場合、輸入者は通関業者(ブローカー)に対して以下の3つのコード(Certificate Identifiers)を伝える必要があります 。

  • Certifier ID(認証者ID:輸入者を特定する23文字以内のコード)
  • Product ID(製品ID)
  • Version ID(バージョンID)

特に「Version ID」は重要です 。 年次の再試験を行った場合や、デザイン・製造プロセス・部品調達先などに変更 (Material Change) があった場合は、Product IDは同じままで、Version IDを (例: V1からV2へ) 更新して管理・申告するルールになっています 。

対象製品について

今回のeFiling義務化の対象となるのは、「CPSCの管轄であり、かつ强制的な安全基準や規則、禁止措置が適用されていて、法的に適合証明書の作成が義務付けられているすべての『完成消費者製品(Finished Consumer Products)』」となります。

具体的には、以下のいずれかの証明書が必要な製品すべてが対象になります。

① 子供向け製品( CPC:Children’s Product Certificate (子ども向け製品準拠宣言書) が必要なもの )

  • 12歳以下の子供向けに設計・意図されたおもちゃ、子供服、幼児用家具、ベビーカー、自転車、ボタン電池など。
  • これらはCPSCが認定した「第三者試験機関 (登録ラボ)」での厳格なテストと認証が必要。

② 一般向け製品 ( GCC:General Certificate of Conformity (一般適合証明書) が必要なもの )

  • CPSCの安全ルールが適用される、一般消費者向けの製品すべて。
  • 例えば、自転車のヘルメット、大人用衣類 (繊維製品の難燃性基準対象のもの)、建築用ガラス、マットレス、特定の工業用ボタン電池を組み込んだ製品などが該当。
  • これらは、適切な試験プログラム (合理的根拠があれば自社試験やメーカーや外部のデータも可) に基づいてGCCを作成する必要があります。

対象外 (免責) になる製品は ?

  • CPSCの管轄外の製品: 食品、化粧品、医薬品 (これらはFDA管轄)、自動車 (NHTSA管轄) などは対象外です。
  • 具体的な安全ルールがない製品 : CPSCの管轄内 (例えば一般的な木工品の家具など) であっても、特定の強制的な安全基準や規制が課されていない製品は、適合証明書自体が不要なのでeFilingの対象外。
  • 部品 (Component parts) : eFilingはあくまで「完成品」の輸入を対象としているため、材料や部品段階での輸入には必要とされません。

※これら対象外の製品を輸入する際は、税関システム(ACE)で「これは対象外ですよ」ということを示す免責コード(Disclaimer)を入力することになっています。

その一方で「少額輸入の免責」はありません。
米国への輸入では一定額以下の貨物に対する関税等の免責制度 (de minimis) がありますが、eFilingにおいては貨物の金額による免責は一切ありません 。 たとえサンプルのような低価値の輸入であっても、規制対象製品であれば必ずeFilingが必要となります 。

規制対象か調べる方法

自社が取り扱う商品がどの規制の対象になるか調べる手段をCPSCが無料で提供しています。

Regulatory Robot ( https://business.cpsc.gov/robot )

もし2026年7月8日以降にデータが不足していたり、入力に不備があったりするとアメリカの税関で荷物がストップしてしまったり検査のために長期間留め置かれたりするリスクもあり、事前の準備がとっても大切です。

eFilingの最終的な法的責任はすべて米国の輸入者 (Importer) にあります 。 ただし、製造元の詳細情報や試験データ (7要素) を正確に集めるためには、海外の輸出元・製造メーカーや試験ラボ、ソフトウェア開発者との密な連携が不可欠です 。 ガイドでも「早い段階から関係者間でコミュニケーションチャネルを構築すること」が推奨されています 。

back to index