対象年齢 ~ 誤飲・重金属

「対象年齢を記せば安心? 健康被害・リスクは防げる?」

おもちゃ、あるいは、おもちゃではないがフィギュアやストラップなどでキャラクターの人形ついているアイテム。 大人向けとも言えるが小さい子供が触る可能性もあります。 「対象年齢を高めにすることで、リスクを排除しようと思います。」なんて声が聞かれます。

「対象年齢」とはどういう定義?

製造・販売者側としては売上への悪影響が数値化されないのであれば (客観的な判断ができないのであれば)、小さい子供や乳幼児が触って万が一のことが起きないように、「触ってもらっても大丈夫な年齢」を「対象年齢」として表示するケースがあります。 それってどこまでリスクを排除できるのでしょうか?

例えば、積み木。 幼児でも遊べる・いじれる・楽しみが理解できるもの。 この積み木の着色料。 これは舐めても安全か? 積み木の角が欠けてスモールパーツになり、それをもし乳幼児が飲みこんでも問題の無いか? ということは当然、想定されるべき。 重金属類が健康被害を及ぼす程度に溶出されるかも知れません。

積み木を例えば、「対象年齢: 7歳以上」と表示したら、これらのリスクは排除された、と言えるでしょうか? 積み木はあくまで積み木。 7歳未満の小さい子供、乳幼児も手にする可能性はあります。 中には、普通の積み木が「対象年齢: 7歳以上」と表示されることで購入しない消費者も存在し得ますが、7歳の息子に与えるつもり購入して、3歳前の妹が一緒に遊ぶかも知れません。

指定した歳未満のひとは触るな! というのが対象年齢ではなく、その製品で本質的な楽しみを味わえる年齢が対象年齢。 従い、積み木を勝手に「対象年齢: 7歳以上」としても、3歳児が触って、舐めて、誤飲して問題がおきたら、この対象年齢という制限に効力はありません。 この対象年齢の考え方は公式に厚生労働省から通達されています。

ただし、対象年齢を“勝手に”決めることで、それに気付き購入しない消費者は当然存在し得ます。 リスクを部分的には回避できる、とは言えます。 しかし、目指すは、消費者側で誤利用があっても健康被害は可能な限り回避できている、ということでは? 厚生労働省がどう定義しようが、製造・販売者としての責任感はこういうことでは?

ところが、製造・販売者側としては、想定し得る全てのリスクを排除すると製品は作れない、価格が高くなりそれを楽しめる消費者を失いそもそもの貢献が低減される、となりがち。 しかし、「品質とコスト(時間も含む)」を決める( = リスク許容度を決める)ためにも、対象年齢で“逃げる”前に、そもそもどのようなリスクがありえるかを想像し・棚卸しするプロセス(方法、能力)、ならびにそこから排除すべきリスクを取捨選択し、後工程に“活かす”ことが重要です。 リスク想像力・棚卸力を発揮できる能力とプロセス。

例えば、かわいらしいキャラクターの飾り物・フィギュア、猫や犬などのペット用のぬいぐるみ、子供を抱える際のお母さんグッズ、など。 子供・乳幼児用向けではないが、触る、舐める、かじる、誤飲するなどの可能性はどう判断されるでしょうか…。

推奨される品質確認項目(一部、必須)としては、対象年齢がどうであろうと、上記アイテムやおもちゃ類似アイテムや像力を働かせたときに乳幼児が頻度高く触りえるアイテムは:

となります。

なお、乳幼児は、食品衛生法で6歳以下の定義。“乳”という文字があり、例えば6歳も乳幼児? と違和感があるかもしれませんが…。 「子供」は玩具安全基準で14歳以下。 食品衛生法で「子供」の定義はありません。

想像力を働かせて、そのアイテムが持ちえるリスクを棚卸しするコツは:

食品衛生法おもちゃ試験、重金属8元素溶出、シャープエッジ、スモールパーツ、ホルムアルデヒド
問い合わせ先: TEL 03-5944-1180

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