生活者はどんな利用をするのか? どこまで検査すべきか?

品質管理に日々熱心に取り組んでおられる方との議論では、まれにユニークな“そこまでやるか?”検査に言及される。 靴ベラで、スープやシチュー、カレーを食べるかもしれない? それを想定した検査が必要では? 有名な話では、ペットを電子レンジで乾かしたら…。 取扱説明書に書いていないから製造者の責任。

このような生活者の利用が全く無いとは言えない。 現代の生活者は多忙。 取説なんて読まない。 直感的に利用方法が判断できない製品からは手が遠のく。 見た目で思い込み・即決する生活。 このような傾向は無いだろうか。 従って、思いもよらない利用が発生し得る。 アンチエイジングの基礎化粧品パッケージを衛生面を考慮してクリーム容器型からチューブ容器型へ変えた。 何を思ったか、“塗る”のではなく“食べる”ことでアンチエイジングすると勘違いした利用者がいた、という話もある。

自社にとっての取り扱い新商品については、どのような生活者利用がありえるか? を議論・棚卸しすることは必要。 あえて極端な利用方法をアイデア出しすることもあり。

しかし、発生の現実性と、発生した場合のリスク (生命、健康、物損など)、上市までのスピード、コストを鑑みた判断が必要。 時間・リソースは常に限定的。

法律や各種規格の基準は必須で満たさねばならない。 自らのブランドが目指すパーセプションを毀損しえるかも判断基準となる。 そのための高品質な検査は必須。 しかし、正確な検査によってこれらの基準を満たしたからと言ってどんな利用状況においても不具合がおこらない、クレームが起こらない、ということにはならない。 あらゆる利用を想定した検査が現実的では無い。 クレームの完全な排除は不可能であり、検査をすることも万能薬とは言えない。 どんな利用が想定され、どこまで検査するのか、都度の意思決定が必要。

生活者のニーズを捉え企画するプロと、製造するプロと、法律や条例に精通し、またリスクを想定しあるべき検査を提案・実施するプロと、販売するプロと、そして各種リソースを鑑みスピード感ある経営判断とで、より安全・安心で生活者が喜んでもらえる商品を素早くマーケットに出したいもの。

検査のプロにおいては、クレーム対応の経験、生活者の利用状況の棚卸し力、検査力、並びにお客さまへの説明力が求められる。 必要に応じ、気軽に弊社へ問い合わせ頂ければ、価値あるアドバイスを提供させて頂きます。

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